真核細胞と細菌では似ているようで違う遺伝子の制御機構があります。
今までよくわかってないなかった転写機構について少しまとめてみます
オペロンってなんだ
真核細胞(動物細胞とか植物細胞とか)には核があるが、細胞にはない。そこで転写と翻訳が同時に起きている。動物細胞はmRNAの転写開始と転写終了場所が決まっていて一つのタンパク質しか翻訳できないが、細菌のmRNAは開始と終了が同じmRNAの上にいくつも乗っていて、複数のタンパク質を続けて翻訳することができる。このタンパク質群は同時に発現して一緒に機能するひとまとまりのグループとなっている。このまとまりをオペロンという。
ラクトースオペロン(Lactose Operon)
σ因子とρ因子ってなんだ
σ因子( σ factor )
RNA polymeraseとcomplex を作り、転写するプロモーターを決める。代謝を変化させたいときに利用されることが多い。
真核細胞では基本転写複合体(TBP(TATA binding protein)、TAF (TBP-associated factor)、RNA polymeraseから構成)のうちTBPがプロモーター配列にあるTATAA配列を認識しており、σ因子と類似の機能を持っている。
Ex:
細菌が胞子を作る
ファージが宿主遺伝子からファージ遺伝子の転写にスイッチを切り替える
Bacillus subtilisが1)増殖時にはsigma 37を利用する 2)胞子形成が開始では sigma 29 にスイッチ
ρ因子(ρ factor)
転写制御因子。この因子を必要とする制御と必要としない制御がある。
ρ因子を必要としないもの(ex: トリプトファンオペロンのtrpL)
mRNAの構造変化により3'にヘアピン構造が形成➡リボソームが外れる➡RNAポリメラーゼがmRNAから外れ、転写が終了する。
ρ因子を必要とするもの(ex: N蛋白)
σ因子によってRNAポリメラーゼが転写開始点を認識➡転写中ある部位に来るとσ因子は 宿主Nus蛋白と置き代る➡転写終止に関わるρ因子は mRNA の5'からmRNA に乗っかり3' 側の方に移動➡Nus蛋白- RNA ポリメラーゼが転写終止点迄来る➡追いついて来たρ因子が作用し転写複合体がDNAから外れる
参考 第6章 遺伝子とその発現